中島カイロプラクティックセンター

自然医療

Dr.中島 回想録

■ Dr.中島 回想録 アメリカ編32

No.32


治療が取り持つ縁

大学病院の外来に入って3ヶ月目、患者さんも順調に来てくれ、なんと1学期でRequirement(新患25人治療回数250回以上が必修条件)を達成してしまった。これもみんなの協力のお陰と感謝した。あと2学期は自分の臨床を経験するのといろいろな研究会やセミナーを受講しようと考えた。そんなある日、アパートに1本の電話が入った。それはT'aekwon‐do(テコンドー)で師範代をしているMaryのお父さんが練習中、相手のキックを受け損なって手を傷めたので診て欲しいというものであった。ともかくすぐに私のアパートに来もらうように応えた。30分位して、右手を痛そうに抑えながらMaryと一緒に来訪した。こういう患者は通常大学病院で診れば成績につながるのだけれども、予約などの手続きをとらなければならなかったので、急遽私のところで診ることにした。留学する前は7年間骨折や脱臼などの治療をし、1年間救急病院で臨床をつんでいたので何とか治療を施すことができた。ただ、骨が変形していたので、お父さんに日本式でタオルを口に噛ませてMaryを助手にして思い切って整復を行った。意外とこのお父さんは頑固なだけあって「」という言葉を発しなかった。内心はさぞかし痛みに耐えたのだろうと想像できる。何とか整復して包帯で固定した。その甲斐あって痛みが急激に減少していった。一週間毎日私のアパートに通ってもらった。それで年齢のわりには回復がかなり早かった。最終的には二週間足らずで骨折は回復し、ほとんど機能障害も起こらず治った。それから2・3日して御礼がしたいのでとお2人からご自宅に招待を受けた。自宅には2人のほか、典型的な太めのお母さんと鼻がつぶれたパグが出迎えてくれた。よっぽど嬉しかったのかあまり道場では話さないお父さんも、この夜ばかりはしゃべりっぱなしだった。私も羽目をはずしビールとワインを飲みすぎ寝込んでしまった。何しろアメリカの中流に値するこの家庭はぬくもりや思いやりがあり、何かしらくつろげる場所であった。それから毎週伺うことにした。娘Maryは私より年齢が一つ若かったが、テコンドーの腕は三段で強く、Mr. Chung Eun Kimの道場(Black Belt Academy)の師範代として教えている。何しろ男以上の腕があるのに、彼女の本当の職業はピアノ教師というから驚きである。ともかくこの家庭との付き合いによって私の癒しの場所がまた一つ増え、ますます留学生活も軌道に乗ってきた。これからは一体どういうことが待ち受けているか、楽しみであり不安である。


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